「最近ハネの調子がおかしくてなー」
「そうなんか?イイ河の上飛んでないんやろ?」
「そうかもしれんなー。最近は淀川とか大和川の上を飛んでばっかりや」
「そらアカン!あんなん河ちゃうで!ドブもエエとこや!ハネ腐ってくんで」
「ホンマかいな?ハネ無くなってもうたらどうやって生活して行ける言うねんな」
「知らんやんか、そんなん。アンタが汚い河でばっかり飛んでるからアカンのやないか。エサとかどうしてんねんな?」
「エサか?路地のゴミ箱とかあさってる。他はブラックバスとかかな?」
「はっ?何食うてんねん?お前サンは!胃の調子悪なるで、そんなんばっかり食ってたら」
「ほな、アンタは何食うてまんねや?」
「ワシはアユとか、ハゼとか食うてますよ。アンタみたいにくさいくさい魚なんぞ食うてまへんで」
「えらいエエもん食うてはんねやなー。うらやましいわー」
「そうやろ?って言うかアンタも、もうちょっとマシな河で飛びなはれや!」
「そんなん言うたかて、大阪なんかにマシな河もクソもあるかいな!」
「別に大阪なんかにこだわらんでエエんちゃうの?」
「そやかて、他の河とか遠いから行かれへんやろ?」
「アホか!アンタ鳥やろ?びゅーって飛んで行ったらエエがな!なんのタメのハネやの?人間サン怒りはるで!しかし」
「そらイカンわ!人間サンとはウマく共存して行かな、ピストルで打ち落とされてしもたらワヤやからな」
「そうやで、早いトコきれいな河に移りなはれや」
「おおきに、せやけど何処がキレイな河なんか分かりゃしまへんわ」
「そら、ワシんとこみたいにキレイな河もありまんで」
「でもキレイな河ってあんまし無いでっしゃろ?最近じゃ」
「ホンマやなー。ここ数年で河も汚のーなってしもたさかいな」
「ワシらかて生活大変やわ」
「まぁ、そない言うたかて、ワシの居るトコとかは全然キレイやけどな」
「さっきからアンタそない言いますけど、ホンマにそんなキレイな河ってあるんかいな?ずーっと気になっててんけど、アンタっていったい何処の河の上を飛んでますの?いっぺん教えて下さいや!ホンマに。何処の河の上飛んでますの?」
「高知県の四万十川の上流や!」
そう言って鳥たちは駅の喫煙所から飛び立って行きました。僅かに開いた喫煙所のトビラからはタバコの煙が流れて行きましたとさ。