「あんたは正直イイ奴やで」
「自分ではまだ気づいてないかも知れんけど」
「俺はホンマにエエ奴やって思ってる」
「最高のヤツやって思ってる」
「そう、食べ物に例えるとすれば」
「焼肉に例えるなら」
「ユッケみたいなヤツやな」
「だって、キライな人はめっちゃキライやけど、好きなヤツはめっちゃスキ」
「これってなかなか貰われへん称号やで」
「だって、ユッケやねんから」
「もしかして、あんたユッケ嫌いやろ?」
「しかも、食わず嫌いみたいなトコあるやろ?」
「あんたと一緒」
「自分のコトあんまり知らんくせに」
「ココロの中でキライになってみたりしてるだけ」
「そうやって自分のコト嫌いになっててもイイで、別に」
「ほんで美味しいモン逃していったらイイやんか!」
「でも、俺は違う」
「あんたのコト好きやし、ユッケもめっちゃ好き」
「あんたはユッケ嫌いでも、俺はユッケ好き」
「あんたが自分のコト嫌いでも、俺はあんたが好き」
「ユッケ食べてみーとは言わんから、自分のコトは好きになってあげましょう」
「あんたが可愛そうやからそんなん言ってんのとちゃうで!」
「あんたが自惚れてニヤニヤしてんの見たいだけ」
「俺はいっつも自分に自惚れてニヤニヤしてるから、あんたと一緒にニヤニヤしてみたいと思っただけ」
「ユッケ食べながら一緒にニヤニヤすんのも悪くないかも」
「でも、あんたユッケ食われへんねんな」
「自分のコト嫌いって思ってるヤツがユッケ食えるわけあらへん」
「ただ、俺のコト見てユッケ美味そうと思ってくれればそれでイイ」
「ちょっとでもユッケ美味そうと思ってくれるだけで、イイ」
「食うも食わんも、あんた次第」
「ただ、俺は食う」
「だって、好きやから」
「いっぺん食べてみよか?」
「そろそろな?」
「じゃあ、注文だけしといたげる」
「早く食べてみーや」
「そんな、テッチャンばっかり食べてんとな!」