今朝の千日前線。僕は爆弾を仕掛けて来ました。なにくわぬ顔して谷町筋。ボーッと歩いている。いつもと変わらない景色。でも、今頃の千日前線には爆弾。エヌエフサーティーン。そんな爆弾は存在しないけど、僕の放った爆弾。最後の爆弾。
「おはよう」
通勤途中の君に一声。
「おはよう」
君が通勤途中の僕に一声。
「今日も仕事ダルイね。」
風を切る君に一声。
「朝が来るとダルイよね。」
表情を一つ変えない僕に一声。
「伝票の整理が残ってて、今日は残業かもな。」
会社を目の前にして僕が一声。
「私もよ。今日は会議だからね。」
会社のトビラの前に立つ僕に、君が一声。
「でも、頑張るしかないかもね。」
トビラを開け始めた君に一声。
「そうね。」
たったの一声。
たったの一声が僕に飛んだ。君の口元からこぼれ出た一声。
無表情なトビラが閉まる。閉ざされた空間。社会。密室。
全てが始まり、そして終わるこの空間。
「じゃあね。」
僕が一声。
「うん。」
僕は君が好き。ただ、それだけ。君が好き。そして、
千日前線には爆弾。
ただ、それだけ。
今朝の出来事。