分子

その分子は、ふわふわと漂い、目的の場所へ。

それは彼の鼻腔の奥。

二度と離れないよう、そこに根を張った。

「ん?」

ふとした香り。小刻みに鼻息を吸い込む。

においの分子は、ありったけの想いを放出した。

「なぜだろう。別れたはずなのに──」彼は鼻から深く息を吸い込んだ。

「──彼女の匂いがする」

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