とある夢の中にて

僕はあなたの事が好きでした。でも、人間には二人の人を同時に同じだけ愛せる魔法はごぜいません。僕の中には備わってる感じがしてた。していたけど、心の中の法律では違法でした。人間としての法律の中では。

 

 

もう何年あなたと付き合っているだろう。同じ季節を何度も見てきた。そして、同じ季節に何度も触れてきた。疑問という二文字はいつも頭の後ろの方に居(い)たけれど、将来の平和と安心を願う時、その二文字は見事に消えたフリをした。

 

 

でも、いつからだろう。あなたを空気のように感じ、重みのない空気に愛しさを感じなくなったのは。きっと、他の人が好きになったせいなのだろうか?それは、誰にも分からない。もちろん僕にも。明日は誰を愛して生きていくのだろう?そして、今日の僕は誰を愛しているのだろう?

 

夕べは夢を見た。同じ気持ちを持つ女性と二人きり。たった二人きり。この喧騒(けんそう)に満ちた街の中に二人。たった二人で自分を語り合った。昨日までの僕にはない部分を見ていてくれた。その時ふと、何かまた愛しさを感じた。秋の空は以外にも優しく、その夜空は二人を包んだ。人気の無い歩道を見下ろし、風を頬に感じながら。

 

 

打ち下ろす様な痛み。きっと心の痛み。何が大事で何が不要なのかは、もうすでに分からない。拾ってきたもの、失ったもの、値打ちを見失った物たちが目の前を泳ぐ。そして、残っているのはあなたに飛び込めない僕。あなたを飛び込ませない僕。夕べの夢は続いていく。

 

 

きっと弱さは愛しさ。一生抱いて居よう。夢に見た女性の横顔。とても細く、その体は痛々しかった。抱きしめたかった。その全てを。僕は明日に向かう。この一本のロープを首に巻き。

 

僕はそっと立ち上がり、そのロープを手に取った。

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